海外へ特許出願するには?

海外へ特許出願するには

日本国内の特許は日本のみにしか権利が及びません。そのため、自社サービスを海外展開するにあたり、対象となる国においても特許権として権利化することを検討する必要があります。

そこで、海外へ特許出願する際は、大きく2つの方法として、①直接(パリルート)出願②PCT(国際)出願の方法がありますので、ご紹介します。

また、日本での特許出願を基にして海外へ特許出願するには、日本の特許出願日から1年以内に海外へ特許出願の手続きをしなければならないため、注意が必要です。

①直接(パリルート)出願

直接(パリルート)出願(以下、直接出願)は、日本での特許出願など基礎出願を基に、特許を取得したい国( パリ条約加盟国 )毎に特許出願する方法です。

日本の特許出願などの基礎出願から1年以内に各国ごとの言語に翻訳し、その国で定められた形式により特許出願する必要があります。
(その後は各国ごとに審査がされます。 )

海外への特許出願が1,2ヶ国の場合、各国へ直接出願するケースが一般的です。ただ、基礎出願から1年以内に各国毎に翻訳する必要がありますので、期限的な余裕があまりなく、海外展開する国が確定していない場合などは、直接出願ではなく、次にご紹介するPCT出願を選択する場合もあります。

②PCT(国際)出願

PCT(国際)出願(以下、PCT出願)は、1つの出願書類を提出するだけで、PCT加盟国すべての国に、同時に出願したことにできる制度です。
 ※平成30年8月現在:152か国(PCT加盟国)

特許は誰よりも先に特許出願していなければならないため、PCT出願は各国でこの出願日を確保できることが重要となります。PCT出願にて、出願日を確保できますが、権利化するまでの審査は各国ごとにされます。

なお、日本の特許出願を基に PCT出願する場合、直接出願と同様に、日本の特許出願などを基礎出願として1年以内に PCT出願する必要があります。

PCT出願後、国際出願日(日本出願があればその基礎出願日)から30ヶ月以内に特許を取得したい国毎に国内移行をして、翻訳文を提出する必要があります。

直接出願とPCT出願の比較

直接出願とPCT出願の違いは、直接出願は基礎出願から1年以内に各国に特許出願しなければならないのに対し、PCT出願は、基礎出願日から30ヶ月以内に国内移行という手続きを行い、各国ごとに翻訳文を提出すればいいので、1年以内か2年6ヶ月以内かといった期限的猶予の差があります。 その他にもPCT出願は国際調査の見解など、特許性の判断材料が得ることができます。

海外の特許出願件数(2018年)

海外の特許出願を検討されたことはあるでしょうか?国内のビジネスに留まらず、海外展開をするのであれば、海外での特許出願を検討することも大切です。

そこで、海外における特許出願件数の統計をご紹介します。

世界知的所有権機関(WIPO)のレポートによると、2018年の世界各地の特許出願件数は約330万件となり、9年連続で増加をしています。

最も特許出願をしている中国では、約154万件の特許出願がされています。以下米国、日本、韓国、欧州の順で続きます。中国の特許出願は、世界の合計の約46.4%を占めています。世界各地の特許出願件数が9年連続で増加していますが、中国の特許出願件数が突出しています。

なお、日本での1年間の特許出願件数は、以前、以下の記事にてご紹介していますが、約30万件であり、中国と比べて約1/5となっています。

サービスローンチ前の技術・アイデアを公にしていませんか?

また、海外の特許出願件数の約85%は、中国、米国、日本、韓国、欧州の庁で占めています。海外での特許出願を検討する場合、上記5つの庁もそうですが、実際にサービス展開をする予定の国・地域の選択は大切です。

なお、海外でサービス展開する際、各国の権利者の特許権の侵害をしないよう、その技術に関する特許の権利を持っている他者がいないか、先行技術調査をすることも大切となります。ただ、費用が高くついてしまいますので、予算との兼ね合いで国を絞ることなどを検討されるといいかと思います。

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